忍者ブログ
今日の弁当に関連する情報をタイムリーに配信
 307 |  306 |  305 |  304 |  303 |  302 |  301 |  300 |  299 |  298 |  297 |
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。



 昨年の秋も深まったころ、突然、上司に呼ばれた。「余裕があるみたいだね。今年は大きな仕事をしてないよ」--穏やかな口調が不気味だった。小さな出版社に入社して2年目の30歳のマコトさん(仮名)。繁忙期に定時で帰ったのが気に障ったようだ。「またクビになるかも」と不安がよぎる。



 早稲田大在学中に演劇にのめり込み、就職活動をしなかった。04年に卒業後は飲食店のアルバイトで食いつなぎ、しばらくしてコールセンターの仕事を始めた。時給制のアルバイトで手取り月16万~17万円。その後、契約社員になったものの、不安定な仕事から逃れようと初めて就職活動に臨んだ。



 就職あっせん会社に登録した。だが、50社申し込んで面接にたどり着けるのは半分。「演劇に打ち込んだので就職活動をしませんでした」と話すと、面接官は冷ややかにほほ笑んだ。好きなことやって就職の機会を捨て、調子のいいこと言ってるねえ--そんな声が聞こえた気がした。



 結局、正社員をあきらめ、06年に派遣会社に登録。ところが、派遣切りが始まった。09年夏に派遣先の契約が前倒しで打ち切られ、派遣会社の支店待機に。会議室に派遣30人が集められ、パソコンに向かって自習を命じられた。外出も居眠りもだめ。このまま会社に残っても給与は出ないと言われ、退職した。身勝手なのは自分か会社か、分からなくなった。



 両親はバブルのころ、関東近郊に家を買って多額のローンを抱えた。都心から遠くて住みにくく、借り手も見つからず、結局手放した。年金から今もローンを返済する。親子でマンションに暮らすが、余裕のない両親に代わってマコトさんが家賃を払う。「何で俺がバブルのツケを払うのか」



 今の出版社では正社員。最近は進んで残業もする。休日出勤も多い。「いつクビになるか不安。また惨めな就職活動はしたくない」--向かいの席に座る上司の一挙手一投足が気になる。



◇  ◇ フリーターやネットカフェ難民に比べたら「自分はまだまし」と思っていた。



 01年3月、34歳のケンジさん(仮名)は学習院大を卒業した。就職先は従業員約500人の自動車部品メーカー。経理部で働いた。



 08年、リーマン・ショック直後に年齢を問わないリストラが始まった。数年前、元請け会社の業績悪化のあおりを受け、中高年は一掃されたあと。31歳だったケンジさんにも希望退職の声がかかった。



 会社に残りたいと言ったら、工場に異動させられた。塗装ラインでひたすらバンパーを上げ下ろしする肉体作業。強硬な説得に負けて、結局退職した。8年勤めた退職金は100万円。東京・日比谷公園に派遣村ができてしばらくたった頃。若手の正社員ですら簡単に職を失う時代が来たと思った。



 再就職を目指し、失業給付を受けながら簿記2級の資格を取った。「当時はまだ大丈夫と思ってた。大学を出て、正社員を8年して、簿記を持ってて、何とかなると」--現実は甘くなかった。



 転職サイトに「製造業・正社員・事務職」で登録したが、応募しても書類ではねられる。100社に応募し面接に進めたのは10社。転職サイト担当者は「年齢の割に薄い職務経歴、1年のブランク、職務経歴のアンマッチ」を理由に挙げた。



 ようやく内定をもらった都内の食品会社。年収は約400万円。一生懸命働こうと思った。しかし、入社1カ月後に採用担当者に呼び出された。「こんな好待遇なのにさ、あなたそれに見合う能力がないよ。会社が求める10分の1も働いてないじゃないか」



 2カ月目、別室で「解雇します」と通告された。離職票には「能力不足」の文字。何が足りなかったのか、今も分からない。現在は関東地方で団体職員として働いている。



◇  ◇ 昨年12月9日夜。勝ち組の象徴と呼ばれた六本木ヒルズそばの雑居ビル地下に、20~30代の若者が次々集まった。若者の労働・貧困問題に取り組む「反貧困たすけあいネットワーク」がクラブを借り切って開いたイベント。代表で、首都圏青年ユニオン書記長でもある河添誠さんは「もう8回目。あえて六本木でやるのがおもしろいでしょ」と笑う。



 専門家のトークと、食事や酒を楽しむ。厳しい日常の中のささやかな息抜き。過労死寸前の働き方や貧困にあえぐ若者への共感が会場を包む。「いつ自分がそうなるか分からない」--30代の実感だ。



【水戸健一、戸嶋誠司】=つづく



 ◇バブル崩壊若手の雇用直撃



 総務省の労働力調査によると、11年1月の25~34歳の完全失業率は6.4%。全年齢の平均値(4.9%)と比べても厳しい。就職氷河期(93~05年)が始まる直前の92年1月では、25~34歳が2.4%、全年齢の平均値が2.1%とほとんど差はなかった。バブル崩壊以降、働き盛りの25~34歳を取り巻く雇用状況は激変した。



 また、10年の同調査によると、勤め先や事業の都合で職を失い、求職中の人は102万人。07年の59万人から急増している。





(この記事は経済総合(毎日新聞)から引用させて頂きました)



集客

PR
この記事にコメントする
Name
Title
Color
Mail
URL
Comment
Password   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
secret (管理人しか読むことができません)
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
♥ Admin ♥ Write ♥ Res ♥
カレンダー
07 2025/08 09
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
スポンサードリンク
プロフィール
HN:
久保田 美咲
性別:
非公開
Copyright ©  今日の弁当は?  All Rights Reserved.
*Material by Pearl Box  *Template by tsukika忍者ブログ [PR]