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 「震災後、価値観が変わった」という人は少なくない。家族や友人との絆が強まった、働き方や生き方が変わったという人もいるはず。また「社会に貢献したい」という人も増えたと思うが、私たちの心の中でそうした意欲は強まっているのだろうか。この質問に対し、社会学者の鈴木謙介氏は「強まっていない」と見ている。その理由は……。



【津田大介×鈴木謙介、3.11後のメディアと若者(3):「SQ」ってナニ? 震災後に変化したモノ】



●人材の流動化が進まない



鈴木:30代というのは家庭をもっていたり、会社では責任のある立場にいる人が多い。会社に「新規プロジェクトをやります」と訴えてもなかなか認めてくれません。また多くの人はそうしたリスクをとりません。



津田大介さんと鈴木謙介さんの対談のようす、ほか:(http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1112/14/news013.html)



津田:能力があって、自分でメディアを作って問題提起をする。そうした人材はたくさんいるのに、なかなか人材が流動化しない。その背景には新聞社にしろ、出版社にしろ、待遇がいいから。



 ネットメディアではまだマネタイズが確立されていないので、将来の道筋が見えていない。そうした状況であれば、会社を辞めて、自分で起業する人が少ないのは仕方がないことなのかもしれません。



鈴木:大学教授の給与というのはあまり知られていませんが、実はこっそり出回っています。年齢とキャリアの年数を掛ければ、自分の給与がだいたい分かるんですよ。



津田:へー!



鈴木:そして自分の年収とそのモデル給与を比べたときに、「フリーランスでも大学教員と同じくらいの年収を手にすることができるかな」と思いました。



 もちろんできるかどうか分かりませんが、「大学にしがみつかないと収入が減る」という状況であれば、そこで我慢しなければいけません。しかしフリーランスでも同じくらいの年収を手にすることができる状況であれば、「嫌になったらいつでも辞めることができる」という自信が生まれます。



 研究者の世界では大学に就職できたらそこがゴールで、あとは一生安泰だと思っている人も多いと思うのですが、僕自身はいつ辞めても食っていけるからこそ就職を選んだんですよね。



津田:その考え方、ものすごく分かりますね。



鈴木:テレビ局や新聞社の中にも、僕とよく似た考え方をしている人はいると思う。でも、人材の流動化はなかなか進まない。



●政治のネットメディアを立ち上げる



津田:僕は2012年に、政治のネットメディアを立ち上げようと思っています。記者と編集者を雇うつもりでいて「この人と一緒にやりたい!」と思う人はたくさんいる。しかし「彼は、大手新聞の記者だしなあ」と考えると、ちゅうちょしてしまう。



鈴木:さすがに大手新聞社の記者を一本釣りすることは難しいということですね。



津田:ですね。「1000万円も支払えないよなあ」と思ってしまう(笑)。



鈴木:ハハハ。



津田:しかも「彼には奥さんと子供がいる。家族を養わなければいけない立場の人を、呼ぶわけにはいかないなあ。うまくいくかどうかも分からないし……」などと考えてしまいますね。



鈴木:なぜ大手新聞社で記者をしていると、津田さんのメディアで書いてはいけないんでしょうか。とにかくフリーランスで、次の日から「津田さんのところでお世話になります」といった極端な話を想定しなくてもいいと思う。とりあえず匿名で記事を書くのもいいのではないでしょうか。



 まずは匿名で記事を書き、津田さんのメディアがマネタイズできるようになってから、社員になる。そして社員になるときにはすでに1年のキャリアがある、といった形でもいいと思う。



津田:なるほど。ま、匿名で書いている記者もいますよね。どことは言いませんが、給与の低い新聞社の記者は多いと聞いています(笑)。



鈴木:ハハハ。



津田:週刊誌に無記名で書いていることが多い(笑)。



●フリーになるのはギャンブル



鈴木:最近の新聞は署名記事も増えてきたので、本を出版したりしてもいいのではないでしょうか。



津田:会社を辞めて、フリーになるというのは、日本ではまだまだギャンブルなんですよ。なので「会社で働くよりも、フリーの世界のほうがいいよ」という話をしても仕方がない。



鈴木:フリーのよさは分かっているけど、「自分には家庭もあるし……」となって黙ってしまうのはクールビズのようなもの。



津田:クールビズ?



鈴木:日本の夏は、蒸し暑い。多くのサラリーマンは「上着を脱ぎたい」「ネクタイをはずして、涼しい服装でいたい」と思っていたけど、周囲の人はきっちりとした服装をしている。なので「自分も同じ服装で……」という考え方の人が多かった。



 しかし今では、ネクタイをしていないサラリーマンだらけ。夏だけではなく、冬でもしていない人が多いですよね。



 クールビズのようにやったほうがいいと分かっていながら、誰もやらないことはものすごく多い。やったほうがいいのにと思いながら、なんらかの原因があってそれができないでいる。それって結局、本人のやる気の問題ではなくて、気持ちをうまく形につなげる手段が欠けているという問題なんですよね。



津田:なるほど。



●震災後の社会貢献意欲



鈴木:この秋、『SQ “かかわり”の知能指数』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)という本を出しました。この本は社会貢献意欲のことについて触れていて、SQとは「身近な他者への手助けによって、人がどのくらい幸せになるかを表す指数」のこと。IQ(知能指数)やEQ(心の知能指数)という指数は有名ですが、それになぞらえて社会性を求める気持ちなどを数値化し、分析しました。



 よく「震災後、社会貢献意欲って強まっていますか?」と聞かれるのですが、「強まっていません」と答えています。



 2005年ごろに「自己責任」という言葉が流行しました。当時、まずい状況に置かれていれば「自分のせいだ」と思い込んでしまう人が多かった。その後、派遣制度の問題が浮上し、2008年には秋葉原無差別殺傷事件がありました。そして「自分のせいではなくて、社会のせいではないか」という雰囲気になった。高齢者の孤独死、無縁社会、孤族(誰にも看取られることなくその生命を終えてしまう人たち)など、雇用だけにとどまらない幅広い社会問題も認知されるようになってきた。



 こうした流れの中、「自己責任じゃないんだ。助けを必要としている人たちがいるんだ」といった意識をもつ人が増えてきました。例えば児童虐待防止のCMが増えたのは、虐待によって亡くなった子供がいて社会的関心が高まってきたので、そういう人を見かけたら「声をかけましょう」といった感じになったからですよね。またランドセルを寄付する伊達直人ブームがなぜ広がったかというと、最大の理由はそこに「手段」ができたから。



津田:そうですね。



鈴木:「この方法、オレも真似できるな」という人が増え、ブームが広がりました。



津田:「人を支援したいけれど、どのようにしていいのか分からない」――。そうした人は多かったと思いますが、ソーシャルメディアの利用者が増えることで、人と人とがつながり始めた。その結果、「このように支援すればいいのだ」と分かるようになり、多くの人たちは実際に行動することができたのでしょう。



鈴木:意識が変わったのではなくて、どのようにすればいいのかという手段が分かった。30代であれば「自分のことで精一杯でも、このくらいなら自分でも貢献できるかも」と感じられる手段を見いだす機会が増えていくのかもしれません。



津田:次に来るブームは何だろう? という質問に対し、僕は「寄付」と「NPO」ではないかと思っています。さきほどお話された鈴木さんの話と近いかもしれません。



鈴木:ですね。



津田:寄付やNPOに目覚めるというのではなく、それに対するアクセス手段が容易になることで、ブームが広がるということです。



●「プロボノ」に注目



鈴木:2004年にイラクで人質になった今井紀明さん(当時18歳)と、先日お話をする機会がありました。現在、彼は大阪の会社で働いているのですが、不登校の子供たちを支援するNPOを立ち上げました。ドロップアウトした子供たちを集めて、教育を支援したりする動きをやろうとしています。



 しかし世間的には「NPOを立ち上げるぞ」と言い出しても、フルタイムの仕事との両立ってホントに大変なんですよね。結局会社を辞めたという人もたくさん知っています。でも、仕事を辞めないと人の手助けができない社会って、そっちの方が変でしょう。今後は、言いだしっぺだけに頼るのではなく、休日だけボランティアをするといった形で社会に貢献する人が増えるかもしれない。休日だけ2枚目の名刺を使って活動するといった感じですね。



津田:僕は「プロボノ」にも注目しています。プロボノというのは、知識労働者が自分の職能と時間を提供して社会貢献を行うこと。この言葉ができてから、それまで弁護士だった人が「オレもボランティアをしよう」という動きが広がった。そうした概念と手段をうまく提示することが大切なのではないでしょうか。



 「なんとなく変わりたいけど、変われない」「やりたいことはあるけど、転職するリスクは負えない」といった人も多いはず。しかし休みの日に誰かを支援すれば、仕事にもいい影響を与えるかもしれませんしね。



(次回、12月16日掲載予定)



[土肥義則,Business Media 誠]







(この記事は産業(Business Media 誠)から引用させて頂きました)



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