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夢が見つかれば一直線に進む。合うか合わないかは体験してから決めたい。
関西地方の実家で暮らす29歳のヒロアキさん(仮名)は高校時代、大好きなプロレス雑誌の広告に目を留めた。「日本人練習生を募集」。中米プエルトリコで活躍する日本人レスラーが「後輩」を探していた。柔道の経験もある。高校卒業後、迷わず海を渡った。入学金30万円は親が出してくれた。
だが共同生活が予想以上にこたえた。夜は雑魚寝。洗濯など身の回りのことは自分でやらなければならない。「練習には耐えられたけど……」。1カ月もたずに帰国した。
フリーターを経てIT系の専門学校で資格を取り、卒業後はシステムエンジニア(SE)になった。ものづくりの現場にあこがれて入社し、徹夜も苦にならないほど働いた。だが、お客の顔が見えない仕事に不満が募り、2年で辞めた。
その次は警察官。かっこよくて、人の役に立てると期待した。しかし交番に配属されてすぐ、嫌気が差した。当直の夜は仮眠すら取れない日もある。「疲れた体でいい仕事ができるはずがない」。仕事は法令にがちがちに縛られ、事務作業も半端でなく多い。「クリエーティブな仕事じゃない。世界一、自分に合わない」。約1年で辞めた。迷惑をかけた人も多く、申し訳なく思う。だが、やりたくない仕事に時間を取られるなんて無駄、夢に向かって努力するのが好きだ。
今は、電子書籍の仕事をしたいと思っている。「趣味が読書だから。これから成長しそうだし」
◇ ◇
「今の30代が就職活動をした2000年代初めは、小泉改革を背景に『社会は変わるかもしれない』という期待がふくらんだ時期」と、中央大教授の山田昌弘さん(家族社会学)は指摘する。
IT系を中心に新興企業の若手社長がメディアをにぎわし、「ベンチャー企業がどんどん出て、チャレンジすれば大企業の社員や公務員でなくても将来が開けるように見えた」。その結果「収入はなんとかなる。やりたい仕事をしている方が幸せ」と、やりがい重視の若者が増えたといわれる。「自分探し」もブームだった。
◇ ◇
32歳のメグミさん(仮名)はテレビ業界にあこがれ、番組制作会社に入った。だが、退職の日が近づいている。
04年に国立大を卒業し、最初は中堅のIT企業に就職した。システムエンジニア(SE)の仕事は「一生懸命やったけど、お金のためだけに働く感じ」。夜遊びする方が楽しかった。そのうち夜遊びに疲れ、「仕事ぐらいは楽しくやろうか」と、転職を考えた。
行きつけの飲み屋で仲良くなった常連さんに、東京都内の小さな番組制作会社を紹介され即決。当初は年収が約170万円ダウンしたが、気にならなかった。
給与明細がなく、社長の機嫌次第で給料が変わった。知らないうちに、契約社員から正社員になっていた。数日勤めただけで姿を消す社員もいた。むちゃくちゃな会社だったが、ディレクターに昇格してがぜん楽しくなった。自身の裁量が大きく、クリエーティブでやりがいがあった。体力的にも苦じゃなかった。
だが、次第に疲れてきた。取材相手に無理に頼んで映像を撮らせてもらい、嫌がることもやってもらう。視聴者より制作や営業の都合を優先した。「『テレビ的』な物差しで作った番組を、視聴者が求めているのか」と悩んだ。
ある時、編集テープにミスがあった。テレビ局側から指摘され、ミスに気づけなかったことを正直に話したら、上司からは「うそぐらいつけなきゃ社会人失格だぞ」と怒られた。適当にごまかせば済んだ話かもしれない。でも心に引っ掛かった。「社会人としてうそをつく場面があるのは理解していた。でも突き詰めて考えたら、うそをつかない生き方の方がいいんじゃないのと」。昨年11月に退職を申し出た。
次に何をするか、全然決めていない。だが「次の仕事を一生の仕事と考えない」ことだけは決めている。貯金はわずか、家賃の支払いもおぼつかない。でも、人にはそれぞれ魅力があり、その人に向いた職業があると思う。「一つのことを続ければ、ある種の才能が生まれるのかもしれない。一方で、もしかしたら、自分にすごくはまる何かが、まだどこかに残っているかもしれないとも思ってしまう」【鈴木敦子】
=次回から識者インタビューを掲載します
◇個性尊重の社会で成長
個性尊重の社会で成長 厚生労働省が10年度に労働者約2万人(有効回答7991人)に実施した「能力開発基本調査」によると、語学教室に通ったり、インターネットで自習したりするなどの自己啓発をしている正社員は41.7%。自己啓発にあてた平均時間は30代は95.7時間で、20代の74.4時間、40代の80.8時間、50代の79.7時間より長かった。費用の平均も30代が6万円と突出。20代は4万6000円、40代は4万7000円、50代は5万6000円だった。
30代が義務教育を受けた時代は主に、80年代から90年代にかけて。学習指導要領が改定され、学習の負担を軽減する「ゆとり教育」にかじが切られたころと重なる。キャリア30年の女性小学校教諭(58)は「詰め込み教育が批判され、勉強ができるできないに関係なく、子どもの個性や『自分らしさ』の尊重を社会が求めた時期だった」と振り返る。
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(この記事は経済総合(毎日新聞)から引用させて頂きました)
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