◇プロみたいなアマに－－阿部泰比古さん（４９）

　中学生の頃はロックミュージックが好きだった。中でも伝説的ハードロックバンド「ディープ・パープル」にはまり、「燃えるように聞いた」という。

　ただ、高校入学後はテニス部に所属。キャプテンを務め、テニスに明け暮れた日々だった。転機は大学時代。テレビでジャズサックス奏者のＭＡＬＴＡさんのコンサートを見て「かっこいい」と憧れを抱いた。卒業後、見附市で民間会社に就職。給料が入ると、それまで触ったこともないサックスをローンで買った。当然、指の押さえ方も何も知らないため、ビデオや教則本などを頼りに、独学で演奏法を学んだ。

　２９歳で見附市職員に転職。そこで、ジャズのイベントを担当することになり、国内の一流ミュージシャンを集めて開催。憧れのミュージシャンらとの交流を深めたが、部署を異動すれば縁が切れるため、９３年、「見附Ｊａｚｚ倶楽部」を設立。年に数回、ミュージシャンを招いて音楽イベントを開催している。

　一方、自身も３０歳になって演奏するように。親戚の結婚式で、サックスを披露したら拍手喝采を受けたのがきっかけで、演奏する魅力に取りつかれた。今は、昼休みに市役所駐車場の自家用車の中で練習するほどだ。

　上達するにつれ、００年ごろから演奏の依頼が増え始めた。現在、月に５～８本、多い時には１２本ものライブをこなす人気ぶり。「技術的には満足に程遠い。ただ、サックスを始めた当初の自分が、今の自分を見たら、『これくらいになれたらいいな』と思うかな」と笑う。

　０９年８月には、三条市出身でニューヨークでライブ経験がある女性ボーカルの吉田睦さんらと組んだジャズバンド「吉田睦　Ｗｉｔｈ　Ｓｅｋｔ」でＣＤをリリース。来年夏に向けてセカンドアルバムを準備中。作詞作曲も手がけている。

　サックスを演奏するシブいおやじ。「プロみたいなアマチュアになれればいいかな」。謙虚な姿勢もかっこいい。【岡村昌彦】

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　■人物略歴

　◇あべ・やすひこ

　十日町市出身。県立見附高校卒業後、東洋大へ進学。見附市でサラリーマンを経て、２９歳で同市職員に。好きなミュージシャンはケニー・ギャレット。同市在住。



１２月２５日朝刊





(この記事は新潟（毎日新聞）から引用させて頂きました)

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