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春から初夏にかけての北海道の味覚、アスパラガスを季節外れの初冬に生産しようという取り組みが、オホーツク海に近い美幌町(びほろちょう)で進められている。手がけているのは町の施設である美幌みらい農業センターで、11月にアスパラガスを収穫するのは国内で唯一の試みだという。「ここまでのプレミアム作物はなかなかない。農家への普及を図って地域のPRにつなげたい」と力を入れている。(札幌支局 藤井克郎)
なだらかな丘の上を、冷たい風がひっきりなしに吹きつけていた。オホーツク沿岸地方は雪はそれほど多くはないものの、11月の半ばを過ぎると朝晩は氷点下の寒さに見舞われる。そんな冬本番にもかかわらず、美幌みらい農業センターのビニールハウスの中では、みずみずしいグリーンアスパラガスがにょきにょきと顔を出していた。
「こいつは新株の新芽なので、絶対うまいに決まっている。12月下旬ごろからは東北や群馬などでもできるが、11月に出回っているアスパラガスは外国産しかない。この季節に出せば、かなりのプレミアムになるはずです」と、みらい農業センターの業務担当、午来(ごらい)博さん(41)は自信をのぞかせる。
美幌で冬アスパラの実証試験を行うことになったのは、北海道大学北方生物圏フィールド科学センターの荒木肇教授の提案による。アスパラガスは、秋に根株を掘り出してビニールハウスに植え替えることで、休眠から覚めて新芽を出すという。これを伏せ込み促成栽培というが、休眠から覚ますには低温に当てることが必要で、美幌は東北や群馬よりも早く低温になるため、11月に収穫することが可能なのだ。
「今年で実証2年目ですが、500株を栽培しています。北大が提案してくれたのは気象条件がマッチしていたのが大きいが、ただ美幌は露地やハウスでアスパラガスを生産してきた基盤がある。過去の実績も評価してもらったんです」
こう午来さんが話す過去の実績も、みらい農業センターが主導してきたものだ。もともとこの辺りは一大畑作地帯で、現在も小麦、甜菜(てんさい)、馬鈴薯(ばれいしょ)が作付面積の大半を占める。平成12年に北海道から土地や施設を譲渡されて開設したみらい農業センターは、次代を担う農業者の育成などとともに、新規作物の開発、普及も大きな柱の一つに掲げていた。その翌年、網走の農協から転職してきた午来さんがまず取り組んだのがアスパラガスだった。
「普通の露地もののアスパラガスは、5月中旬から7月頭までがシーズンですが、ハウス立茎(りっけい)栽培といって、4月の頭から8月まで収穫できる栽培法を地域の農家に提案した。露地ものの端境期に出せるから希少価値があり、収益性も高まるんです。でもこの辺りには小物野菜に取り組むという文化がなかった。最初はくそみそでした」
だが新規就農者を育成するためにも、収益性のある野菜は不可欠だった。新たに大規模畑作をやろうと思ったら大農場を持たなくてはならないが、莫大(ばくだい)な投資が必要な上、そんな土地を斡旋(あっせん)できる余地はほとんどない。小さな農地でも成り立つようにするためには、みらい農業センターで見本を示すしかなかった。
「うちの最大の武器は、ここに15ヘクタールの農地を持っていること。だから実際に作って、成果を見せてあげることができる。そうすることでちょっとずつ出入りする農家が増えてきて、僕も周りの農家に通ったりするうちに信頼関係が築かれていった」と午来さん。
立茎栽培アスパラガスは、平成16年に1軒の農家が始めたのを皮切りに、今ではみらい農業センターで研修を積んだ新規就農者を含む25軒で生産している。その後、イチゴ苗の増殖も提案し、この2品目で3500万円の経済効果を上げているという。
その次の一手が、11月に出荷できるアスパラガスというわけだ。「小さな実験でちまちまやっているといわれるのが一番悔しい」と午来さんが言うように、実証栽培で収穫したアスパラガスはスーパーで試験販売するなど、地域へのアピールも図っている。網走市のホテルから使いたいという注文が来るなど、評判も上々だ。
「これで何十億円まかなえるとは思っていないが、個性を打ち出してほかとの差別を図ることで、地域農業に何か一石を投じたいという思いは持っている。日本で唯一のプレミアム作物があれば、その取引をきっかけにさらなる波及効果も期待できる。今は11月アスパラに全力投球で、とにかく広範囲に認知されるようにならないと。まだまだゴールは先です」
収穫は12月末まで行われるという。
(この記事は社会(産経新聞)から引用させて頂きました)
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なだらかな丘の上を、冷たい風がひっきりなしに吹きつけていた。オホーツク沿岸地方は雪はそれほど多くはないものの、11月の半ばを過ぎると朝晩は氷点下の寒さに見舞われる。そんな冬本番にもかかわらず、美幌みらい農業センターのビニールハウスの中では、みずみずしいグリーンアスパラガスがにょきにょきと顔を出していた。
「こいつは新株の新芽なので、絶対うまいに決まっている。12月下旬ごろからは東北や群馬などでもできるが、11月に出回っているアスパラガスは外国産しかない。この季節に出せば、かなりのプレミアムになるはずです」と、みらい農業センターの業務担当、午来(ごらい)博さん(41)は自信をのぞかせる。
美幌で冬アスパラの実証試験を行うことになったのは、北海道大学北方生物圏フィールド科学センターの荒木肇教授の提案による。アスパラガスは、秋に根株を掘り出してビニールハウスに植え替えることで、休眠から覚めて新芽を出すという。これを伏せ込み促成栽培というが、休眠から覚ますには低温に当てることが必要で、美幌は東北や群馬よりも早く低温になるため、11月に収穫することが可能なのだ。
「今年で実証2年目ですが、500株を栽培しています。北大が提案してくれたのは気象条件がマッチしていたのが大きいが、ただ美幌は露地やハウスでアスパラガスを生産してきた基盤がある。過去の実績も評価してもらったんです」
こう午来さんが話す過去の実績も、みらい農業センターが主導してきたものだ。もともとこの辺りは一大畑作地帯で、現在も小麦、甜菜(てんさい)、馬鈴薯(ばれいしょ)が作付面積の大半を占める。平成12年に北海道から土地や施設を譲渡されて開設したみらい農業センターは、次代を担う農業者の育成などとともに、新規作物の開発、普及も大きな柱の一つに掲げていた。その翌年、網走の農協から転職してきた午来さんがまず取り組んだのがアスパラガスだった。
「普通の露地もののアスパラガスは、5月中旬から7月頭までがシーズンですが、ハウス立茎(りっけい)栽培といって、4月の頭から8月まで収穫できる栽培法を地域の農家に提案した。露地ものの端境期に出せるから希少価値があり、収益性も高まるんです。でもこの辺りには小物野菜に取り組むという文化がなかった。最初はくそみそでした」
だが新規就農者を育成するためにも、収益性のある野菜は不可欠だった。新たに大規模畑作をやろうと思ったら大農場を持たなくてはならないが、莫大(ばくだい)な投資が必要な上、そんな土地を斡旋(あっせん)できる余地はほとんどない。小さな農地でも成り立つようにするためには、みらい農業センターで見本を示すしかなかった。
「うちの最大の武器は、ここに15ヘクタールの農地を持っていること。だから実際に作って、成果を見せてあげることができる。そうすることでちょっとずつ出入りする農家が増えてきて、僕も周りの農家に通ったりするうちに信頼関係が築かれていった」と午来さん。
立茎栽培アスパラガスは、平成16年に1軒の農家が始めたのを皮切りに、今ではみらい農業センターで研修を積んだ新規就農者を含む25軒で生産している。その後、イチゴ苗の増殖も提案し、この2品目で3500万円の経済効果を上げているという。
その次の一手が、11月に出荷できるアスパラガスというわけだ。「小さな実験でちまちまやっているといわれるのが一番悔しい」と午来さんが言うように、実証栽培で収穫したアスパラガスはスーパーで試験販売するなど、地域へのアピールも図っている。網走市のホテルから使いたいという注文が来るなど、評判も上々だ。
「これで何十億円まかなえるとは思っていないが、個性を打ち出してほかとの差別を図ることで、地域農業に何か一石を投じたいという思いは持っている。日本で唯一のプレミアム作物があれば、その取引をきっかけにさらなる波及効果も期待できる。今は11月アスパラに全力投球で、とにかく広範囲に認知されるようにならないと。まだまだゴールは先です」
収穫は12月末まで行われるという。
(この記事は社会(産経新聞)から引用させて頂きました)
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