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いま「本物の資本主義」が日本社会を揺さぶっている。大きな仕組みには、もう頼ることはできない。自分で考え、自分で決めるための「武器」とは──。京大人気ナンバーワン教授の「脱・コモディティ化社員」武装講座



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 東日本大震災が起きた昨年の3月以降、これからの時代を生き抜くためには、自分で考えて自分で決断する必要があることが、誰の目にも明らかになりました。これまで多くの人が「きちんと仕事をしているだろう」と思っていた日本政府や東京電力のような巨大企業も、国民の生命の危機に際し、まったく頼りにならないとわかってしまった。この衝撃は非常に大きかったと思います。

 どんな権威にも、もはや頼ることができない。そんな時代だからこそ、自分で考えて自分で決めることが、ますます重要となってくる。これは私が昨年9月に上梓し、計25万部の売れ行きとなった『武器としての決断思考』『僕は君たちに武器を配りたい』という2冊の本にも共通するテーマです。



 現在の日本は、明治につくられた国家の仕組みが崩壊する過程にあります。より安く、より性能のいい製品を作れば経済成長できるという思想に基づき、欧米に対するキャッチアップの努力を100年以上続けてきました。教育システムでは、地方の優秀な学生を東京大学に吸い上げ、有能な「国家の家来」となる人材を大量生産してきました。それは明治当時の新興国だったアメリカやドイツに倣ったやり方でした。明治維新では、高杉晋作や坂本龍馬といった国を揺るがす革新的人物が相次いで現れましたが、そうした天才ではなく、秀才を養成するシステムです。現在まで、「第二の高杉晋作」は、必要とされない時代が続いてきました。





■「学習」自体が目的化。英語で年収増はムリ



 しかし最近、この「発展途上国モデル」が通用しなくなってきました。日本が得意としてきたモノづくりはアジアの新興国に市場を奪われ、少子高齢化が進み国内需要は減少、雇用は失われ、円高による輸出への大打撃と、まったく明るい兆しが見えない状況となっています。



 この日本の苦境の背景にある原因の一つが、全産業のコモディティ化です。コモディティとは本来「日用品」を指す言葉ですが、経済学では産業の発展にともない、企業間で製品に有意な差がなくなり、どの会社のどの商品を買っても同じとなった状況をそう呼びます。日本企業の多くが価格競争で疲弊し、利益がどんどん減っているのもコモディティ化が大きな要因です。そして深刻なのは、商品だけでなく、働く人材にもコモディティ化の潮流が押し寄せていることです。



 グローバル化した企業では、仕事の規格化が進んでいます。誰がやってもある程度の成果は出るようになっているのです。このため事業拡大にともなって必要となるのは、大量のコモディティ人材となります。自動車メーカーが、コモディティ化された部品を採用することでコストダウンを図ってきたように、採用では、能力が同じであれば、求職者の中から最も安い給料で雇える人を採用します。近年の日本で賃金の下落が始まっている本質的な理由もここにあります。



 ユニクロや楽天などの企業では「英語公用語化」を進めています。そうした動きに影響を受けたのか、英語学習を始める人も増えているようです。しかし脱コモディティ化のために英語を勉強したり、会計やITなどの資格試験の取得を目指したりすることは、あまり意味がありません。これらは「不安解消マーケティング」の一つにすぎないのです。

 ユニクロや楽天はグローバル市場で利益を出す仕組みが完成し、大量生産・大量販売の拡大フェーズに入っています。世界各地で同様の業態での展開を計画しており、そのために英語がある程度話せて、安い給料で雇えるコモディティな人材を採用したいのです。そこで働く人が英語のスキルをいくら身につけても、コモディティからは抜け出せません。第一、本当に英語がビジネスで必要ならば、そのたびに通訳を雇えばいいのです。



 昨今では、英語力のほかにも「地頭力」を鍛えたり、「ロジカルシンキング」を身につけたりする勉強法が流行していますが、学習自体が目的化しているように思います。相関関係と因果関係を取り違えてはいけません。「優秀な野球選手は足が速い」という相関は正しいでしょう。しかし「足が速ければ優秀な野球選手だ」という因果は断定できません。同様に、「高年収のビジネスマンは英語が堪能」とはいえますが、「英語が堪能ならば年収が高くなる」とは言い切れないでしょう。





■弱点の補強はやめて「強み」に集中投資



 それでは「脱コモディティ化社員」となるにはどうすればいいのか。私は自著の中で、今後、プロフェッショナルとして生き残れる日本人のタイプを、4つに分類しました。

 一つ目が商品に付加価値をつけて、市場に合わせて売ることができるマーケター。次にまったく新しい商品や仕組みをつくり出すことができるイノベーター。三つ目が起業家として事業を起こし部下を束ねるリーダー。最後が投資家として市場に参加するインベスターです。戦略コンサルタントや経営者あるいは投資家として、多くのビジネスリーダーを間近に見てきた私の経験からも、ビジネスで成功している人は、いずれもこの4分類やその組み合わせに当てはまります。



 ある人はファストフードの店長を長年務めていましたが、あまりの激務に体を壊して退職しました。その後まったく別の業界に転職したのですが、外食産業で働いたことで、複数のアルバイトを効率的に使うスキルを身につけていました。そこで彼は、転職した業界で「専門知識がなければできない」とされていた営業業務をマニュアル化し、大量のアルバイトを雇い新規開拓することで、会社の利益を大きく伸ばすことに成功しました。これは既存のやり方を変革するという点でイノベーター的であり、人を効果的に使うという点でリーダー的といえます。



 また保険業界で有名なある女性営業マンは、さまざまな業界の中小企業の経営者とつながりができるという職種の特性を活かして、「この人にあの社長を紹介すれば喜んでくれそう」と考えるようになりました。そして社長同士を引きあわせ、中小企業同士が互いにメリットのあるパートナーシップを結べるよう、関係構築に尽力しました。彼女に顧客を紹介してもらった社長は大いに喜び、自ら進んで保険に加入し、社員や取引先にも彼女の保険を勧めるようになりました。そうした「紹介」を基本にした営業手法により、ほかの営業マンの何倍もの売り上げを達成するようになったのです。これは同じ商品でも売り方の仕組みを根本から変えるという点で、優れてマーケター的な働き方であるといえます。



 彼らに共通するのは、与えられた営業目標の何倍もの成績を達成しているところです。業界を問わずトップセールスの人々は平均的な営業マンに比べて、10%や20%の差ではなく、何倍という段違いの数字をあげています。それは彼らが普通の営業マンとはまったく違うやり方をしているからです。

 営業目標に対して普通の営業マンは、「どうやって達成しよう」と考える。ところが彼らは、「目標の2倍、3倍の売り上げを達成するにはどうすればいいか」と発想します。それだけ高い目標には、他の人の真似や、これまでと同じやり方を続けるだけでは絶対に到達できません。何かしらの根本的な革新が必要になります。そこで彼らは自分の商品のマーケットについて徹底的に研究し、他の誰もやっていないやり方を発明する。だからダントツの数字が出せるのです。



 私はよく仕事に悩む若い人に「楽勝でできることを徹底的にやるといい」とアドバイスします。10種類の仕事があるとすれば、なかには一つや二つ、それほど労力をかけずともうまくできる仕事があるはずです。そこに時間を集中して投資するのです。それは自分の「強み」になります。工業製品のように規格化された能力を求められるコモディティ人材は、突出せずに自分の弱点を正すことが求められます。だから、脱コモディティ化するためには、自分の持つ強みを活かして、何かに突出することが必要なのです。

「一生懸命やっているのに成果が出ない」という人は、努力の方向自体が間違っている可能性があります。それに気づかず、「もっと効率的にやればうまくいくのではないか」と考え、「ライフハック」や「GTD」といった仕事術に手を出したところで、効率化できるのはせいぜい1割か2割です。



 資本主義の歴史を振り返ると、10%や20%の改善の積み重ねではなく、100%以上の非連続的な変化が起きることで、経済が拡大してきたことがよくわかります。たとえば自動車産業を生み出したアメリカのヘンリー・フォードは、馬車の代わりに「鉄製の速い馬」をつくろうとは考えず、自動車という新しい概念の乗り物を大量生産することで、社会に巨大なイノベーションを起こしました。





■仕事への「本気度」を桁違いに上げる方法



 個人の働き方においても、このような非連続的な変化を起こせるかどうかが、鍵となります。それはどんな職場でも可能で、あらゆる業界に「普通のやり方」と、圧倒的に生産性を高める「普通でないやり方」があるはずです。

 その方法を発見するために、最も効率のいいやり方は、自分の働く業界に関して、誰よりも詳しくなることです。それも狭い業界の枠組みを超えて、俯瞰的に業界全体を捉えてみる。そのうえで業界の中の非効率なところや、ユーザーに不便を強いているシステムを正すことを考える。これは誰にでもできて、なおかつ勝てる公算が大きいチャレンジとなります。

 俯瞰的に捉えるということは、「経営者だったらどう考えるか」という起業家・投資家としての精神を持つことです。ビジネスでは、自分の判断が正しければ得をする、間違っていれば損をするという立場に身を置くことが大切です。そうすることで自分の「本気度」が桁違いに上がります。



 私がある会社に投資した際には、その経営に関わるメンバー全員から、数百万円から1億円程度の出資を集めました。そうすると週一回の経営会議で、練り込みの足りない案を出した人間に対しては、メンバーが本気で怒るようになります。「自分の金がかかってるんだぞ」という意識が共有され、日本企業にありがちな無責任体質が一切なくなる。そういう真剣さが、業績向上につながるわけです。

 それに対しサラリーマン意識で働いている人は「結果を出さなくても別に関係ない」と思っています。それは自分が一生懸命働かずとも、毎月決まった額の給料がもらえるからです。しかしそのままではコモディティ人材からは抜け出せませんし、自分の生殺与奪の権限を会社に預けるという大きなリスクを負うことにもなります。



 私は独立のすすめを説いているわけではありません。独立すれば、脱コモディティ化が図れるわけではない。むしろ事業のコモディティ化で苦しんでいるベンチャー企業は少なくありません。企業規模が大きいほど、社内には使えるインフラがたくさん眠っています。多くの場合、その資産は活用されていません。また社内ベンチャーという形で、社員の新しい取り組みをバックアップする企業も増えています。



 投資先で人材採用を行うとき、面接で必ず聞く質問があります。

「いままであなたがやってきた仕事の中で、最も会社を儲けさせた仕事は何ですか。チームで取り組んだ仕事の場合、あなたがそこで果たした役割は何ですか」

 これに答えられない人は基本的に採用しません。逆にきちんと結果を出してきた人は、この質問に即答できるはずです。とにかく結果を出し、自分の会社を成功させることにフォーカスしてみる。言われたことを単純にやるのではなくて、本質的に自社を成功させるためにはどうすればいいか、真剣に考えて行動することです。その結果が、自分の成長と報酬に直結します。



 私はこれからの日本を、新しい事業や取り組みが次々に生まれ、失敗はあっても、同時に大成功する人々が現れるような社会にするべきだと考えています。グローバル化による「本物の資本主義」の世界の中で、日本人が生き抜くためには、社会をより資本主義的なモデルに変えていく必要がある。大企業で働く30代から40代のエスタブリッシュメントが、リスクを恐れず変化することで、必ず日本はよくなるはずです。





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京都大学客員准教授

瀧本哲史

たきもと・てつふみ●京都大学産官学連携本部イノベーション・マネジメント・サイエンス研究部門客員准教授。東京大学法学部卒業。学卒後、助手経験を経て、マッキンゼーでコンサルティングに従事。独立後は、企業再生やエンジェル投資家としての活動をしながら、京都大学で教育、研究、産官学連携活動を行っている。



大越 裕=構成





(この記事は経済総合(プレジデント)から引用させて頂きました)



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