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女性が働くことを4つのテーマから考える連続講座「生き方カレッジ」。10月は「家族」をテーマに、「祝女」や「慎吾ママ」を担当する放送作家のたむらようこさんと慶応義塾大学院特任教授の高橋俊介さんをお招きした。子連れ出社できる会社を立ち上げたたむらさんの経験談や本音トークに、キャリア論の専門家である高橋さんの意味づけが加わり、参加者は深くうなずきながら聴きいっていた。(聞き手:一色清・WEB論座編集長)
*** 「女の人」の意見入れた番組に ***
――たむらさんは、赤ちゃんも一緒に出社できる会社をつくったとか。それは、どうしてだったんですか?
たむら女性の仲間が欲しい、その一念でした。18年くらい前にテレビ業界に入ったんですが、30人の会議に1人女性がいればいいほう。そのなかで、「女の人の意見はどうですか」といつも聞かれました。でも、当時アシスタントディレクターだった私は、1カ月くらい家に帰らないのが当たり前。その私が「普通の女の人の意見」を言っていいはずがない。でも、周りに誰も生活者の意見を持ってくる人がいない。結婚して出産して、育児をしながらやれる仕事ではなかったから、女性はいなかった。自分ががんばればいいという問題ではなく、この状況が続いたら、みんな同じ目に遭ってしまうと思いました。テレビを見る人の半分は女性。じゃあ、キッズルームに連れてきてもらえるようにしたらどうだろうか、と会社をつくったのが30歳の時です。
――ご自身の出産の前に会社があったんですね。
たむら仲間たちのために会社をつくりたいと思ってつくったのが「ベイビー・プラネット」という会社です。私自身は、仕事がとっても大好きで、家族を持つイメージがまったくできず、35歳になってやっと結婚、37歳で子供が生まれました。でも、私の親は福岡、夫は大阪で、頼る人がいなかった。最初の子で自信もなかったし、痛いとかかゆいとか言えるまではそばにいられたらとの思いもあったので、会社に連れてきていました。今は3歳になったので保育園。スタッフの中には、すぐに保育園に入れる人もいます。さまざまな考え方に応じたシステムが会社や社会にどれだけ用意できるかだと思います。最近では、お父さんたちが早く会社が終わると迎えにきてくれて、「妻が忙しいときはヒステリーだから、こう対応したほうがいい」と情報交換したりしていて、思いがけない副産物もありました。
*** ステレオタイプに危機感 ***
――仕事はどうですか? 家族とのバランス、どう考えたらいいのでしょうか?
たむら今年から、サザエさんの脚本を書かせていただいてるんですが、失われた貴重なものをみているという感覚や、ひとつの問題に向き合う磯野家の姿勢に今も昔も共感が得られていると思います。でも、今、家族っていろんな形があり、みんな家族がよくわからなくなってきた。無償の愛とか、その人のためなら死ねるとか言われるけど、仕事で気持ちがいっぱいいっぱいの時も、いつも家族を優先するのは難しい。でも、私自身は、守りあうことが重要なんじゃないかと考えています。女性は今、仕事に出て働いて経済的に家族を守るようになった。家族の守り方がひとつじゃなく、いろいろになって難しくなった。でも、たとえば私が徹夜して外で働いていたり、子どもをおいて出張に行かなきゃいけないときでも、「この行動は家族を守るためか? そうじゃないか? 」と考えて、イエスなら自信を持って行けばいいし、そうじゃないならやめればいい。「核」がきちんとあれば、どんなスタイルであっても、「私たち家族だ」って言える。指標があることで、仕事と家のバランスが楽になりました。仕事を好きな人ほど、家のことも仕事も、どっちも100%やりたくて、もどかしい。でも、困る要因も家族だけど、支えてくれるのも家族です。
高橋おもしろい調査結果があります。専業主婦のいる夫、共働きの男性、共働きの女性の3つのカテゴリーに対し、「あなたは家族が大事ですか? 」と聞くと、専業主婦のいる夫が一番「大事」と答えた人が多かったが、「あなたは家族とどれくらい話をしていますか? 」と尋ねると、一番短いのも専業主婦のいる夫だった。これは何か? 経済的に家族を支えることは確かに大事だけど、精神的に支えることも大事。会話の満足度の方がずっと精神的に支えることの意味があるんです。
――テレビの世界で描かれる家族には、あこがれもありそうです。
たむら一方で、テレビで描かれているのは、あまりにステレオタイプという危機感もあります。たとえば、ドラマに出てくる女の人のお部屋、みんなきれい。あんなにきれいに片付いている家は、私の友達にはいない。語尾に「~わ」とか言う女っていますか? こと家族になると特に、女が料理をしなきゃ、女性が多く掃除をしなきゃ、という幻想に悩まされている。すでにある家族像にあわせるのは楽かもしれないけど、本来はいろんな女性がいていい。夫も子どもも自分も、やりたいことを全部出した「妥協の産物」が家族。100人いれば100の家族の形があっていい。
高橋日本人は世界と比べてネガティブなんです。子育てが楽しいか? と聞くと、日本は「女性だからこれをやらなきゃいけない」といった責務感が強いから、「大変だ」という。私は結婚して25年になるが、自由と自己責任の家庭で、家事は分担を決めない。やりたいほうがやればいい。やりたくなければやらなきゃいい。下手すると我慢比べになるが(笑)。そのかわり、たくさんやったからって威張らない。「家でご飯が食べたい」と言いながら、自分で作らない夫はだめ。それが自己責任というもの。育児はそうはいかないかもしれないですけど。
たむら立派な女性は、仕事では仕事、家庭では家庭できっちりわけようとしているところがある。家族には、お母さんとしての顔しか見えないから、もっともっとお母さんであることを要求されてしまう。そうなると、仕事と家庭を両立するのが苦しくなると思う。お母さんが家の食卓で仕事の愚痴を言っている光景は、子どものころにインプットされてないのでやりづらいのかもしれないけど、もっともっと言っていいのかなと。
*** 日本人の「専念がいい」がよくない ***
――高橋さんは、ご結婚はマッキンゼーでものすごく仕事をしていたころにして。寿退社で、転職したと聞きました。
高橋当時、ものすごく忙しくて、一番働いた時は月500時間でした。それができるくらいエキサイティングな仕事だった。でも、結婚しようと決めて気づいたのは、ずっと忙しくしてきた人は家族との関係に失敗していることが多いということ。家族像が多様化しているなかで、夫婦が幸せかどうかは、誰と結ばれるかより、最初の数年に、徹底してコミュニケーションして家族像をすりあわせるかどうか。そう思って、「結婚したんで辞めます」と。だけど、男が言うと簡単にすまされない。「なんでだ」と。「なんでだって言われたって、やめたいんです。みなさんみたいな夫婦になりたくないからです」と。そこまでは言いませんでしたが(笑)。結婚後は、2人で3カ月休みをとって、バックパック旅行をしました。うちは、けんかも徹夜で議論します。一番悪いのは、「おまえと話してももう無駄だ」と言うこと。どっかであきらめちゃうと、関係性ってつくれない。これは、家族に限らないと思うんですけど。
――女性の生き方も多様になっていて、選択肢がひとつしかない時代のほうが楽だったかもしれない。ディスカッションが必要なのは、多様性のなかからひとつを選びとるという課程を踏まなきゃならないということなんでしょうか。
高橋「ダイバーシティー」と言いますが、日本はあまりに特殊です。有給休暇の消化率は低く、女性の管理職率も低い。男性はPTAに出てこない。あまりにも、分業です。欧米やアジアではあり得ない。ワーキングマザーインタビュー調査をしたことがありますが、働きながら子育てをするということで、失うこともあるが、得られることもある。
日本でいけないのは、「専念するのがいいことだ」という考え方だと思います。仕事に専念するとか、家事に専念するとか。でも、専念というのは偏る。人間はひとつのことしかやらないと、他の能力が封印されちゃうから。だから、私たちの大学のキャリアラボでは、「ワークライフバランス」じゃなく、「ワークライフインテグレーション」と言っています。バランスというと、きれいに分けられるように思う。3:7なのか逆なのかと。そうではなくて、重なっている。その重なりをいかに有効にしていくかが重要なんです。
(この記事は社会(ジョブラボ)から引用させて頂きました)
集客
*** 「女の人」の意見入れた番組に ***
――たむらさんは、赤ちゃんも一緒に出社できる会社をつくったとか。それは、どうしてだったんですか?
たむら女性の仲間が欲しい、その一念でした。18年くらい前にテレビ業界に入ったんですが、30人の会議に1人女性がいればいいほう。そのなかで、「女の人の意見はどうですか」といつも聞かれました。でも、当時アシスタントディレクターだった私は、1カ月くらい家に帰らないのが当たり前。その私が「普通の女の人の意見」を言っていいはずがない。でも、周りに誰も生活者の意見を持ってくる人がいない。結婚して出産して、育児をしながらやれる仕事ではなかったから、女性はいなかった。自分ががんばればいいという問題ではなく、この状況が続いたら、みんな同じ目に遭ってしまうと思いました。テレビを見る人の半分は女性。じゃあ、キッズルームに連れてきてもらえるようにしたらどうだろうか、と会社をつくったのが30歳の時です。
――ご自身の出産の前に会社があったんですね。
たむら仲間たちのために会社をつくりたいと思ってつくったのが「ベイビー・プラネット」という会社です。私自身は、仕事がとっても大好きで、家族を持つイメージがまったくできず、35歳になってやっと結婚、37歳で子供が生まれました。でも、私の親は福岡、夫は大阪で、頼る人がいなかった。最初の子で自信もなかったし、痛いとかかゆいとか言えるまではそばにいられたらとの思いもあったので、会社に連れてきていました。今は3歳になったので保育園。スタッフの中には、すぐに保育園に入れる人もいます。さまざまな考え方に応じたシステムが会社や社会にどれだけ用意できるかだと思います。最近では、お父さんたちが早く会社が終わると迎えにきてくれて、「妻が忙しいときはヒステリーだから、こう対応したほうがいい」と情報交換したりしていて、思いがけない副産物もありました。
*** ステレオタイプに危機感 ***
――仕事はどうですか? 家族とのバランス、どう考えたらいいのでしょうか?
たむら今年から、サザエさんの脚本を書かせていただいてるんですが、失われた貴重なものをみているという感覚や、ひとつの問題に向き合う磯野家の姿勢に今も昔も共感が得られていると思います。でも、今、家族っていろんな形があり、みんな家族がよくわからなくなってきた。無償の愛とか、その人のためなら死ねるとか言われるけど、仕事で気持ちがいっぱいいっぱいの時も、いつも家族を優先するのは難しい。でも、私自身は、守りあうことが重要なんじゃないかと考えています。女性は今、仕事に出て働いて経済的に家族を守るようになった。家族の守り方がひとつじゃなく、いろいろになって難しくなった。でも、たとえば私が徹夜して外で働いていたり、子どもをおいて出張に行かなきゃいけないときでも、「この行動は家族を守るためか? そうじゃないか? 」と考えて、イエスなら自信を持って行けばいいし、そうじゃないならやめればいい。「核」がきちんとあれば、どんなスタイルであっても、「私たち家族だ」って言える。指標があることで、仕事と家のバランスが楽になりました。仕事を好きな人ほど、家のことも仕事も、どっちも100%やりたくて、もどかしい。でも、困る要因も家族だけど、支えてくれるのも家族です。
高橋おもしろい調査結果があります。専業主婦のいる夫、共働きの男性、共働きの女性の3つのカテゴリーに対し、「あなたは家族が大事ですか? 」と聞くと、専業主婦のいる夫が一番「大事」と答えた人が多かったが、「あなたは家族とどれくらい話をしていますか? 」と尋ねると、一番短いのも専業主婦のいる夫だった。これは何か? 経済的に家族を支えることは確かに大事だけど、精神的に支えることも大事。会話の満足度の方がずっと精神的に支えることの意味があるんです。
――テレビの世界で描かれる家族には、あこがれもありそうです。
たむら一方で、テレビで描かれているのは、あまりにステレオタイプという危機感もあります。たとえば、ドラマに出てくる女の人のお部屋、みんなきれい。あんなにきれいに片付いている家は、私の友達にはいない。語尾に「~わ」とか言う女っていますか? こと家族になると特に、女が料理をしなきゃ、女性が多く掃除をしなきゃ、という幻想に悩まされている。すでにある家族像にあわせるのは楽かもしれないけど、本来はいろんな女性がいていい。夫も子どもも自分も、やりたいことを全部出した「妥協の産物」が家族。100人いれば100の家族の形があっていい。
高橋日本人は世界と比べてネガティブなんです。子育てが楽しいか? と聞くと、日本は「女性だからこれをやらなきゃいけない」といった責務感が強いから、「大変だ」という。私は結婚して25年になるが、自由と自己責任の家庭で、家事は分担を決めない。やりたいほうがやればいい。やりたくなければやらなきゃいい。下手すると我慢比べになるが(笑)。そのかわり、たくさんやったからって威張らない。「家でご飯が食べたい」と言いながら、自分で作らない夫はだめ。それが自己責任というもの。育児はそうはいかないかもしれないですけど。
たむら立派な女性は、仕事では仕事、家庭では家庭できっちりわけようとしているところがある。家族には、お母さんとしての顔しか見えないから、もっともっとお母さんであることを要求されてしまう。そうなると、仕事と家庭を両立するのが苦しくなると思う。お母さんが家の食卓で仕事の愚痴を言っている光景は、子どものころにインプットされてないのでやりづらいのかもしれないけど、もっともっと言っていいのかなと。
*** 日本人の「専念がいい」がよくない ***
――高橋さんは、ご結婚はマッキンゼーでものすごく仕事をしていたころにして。寿退社で、転職したと聞きました。
高橋当時、ものすごく忙しくて、一番働いた時は月500時間でした。それができるくらいエキサイティングな仕事だった。でも、結婚しようと決めて気づいたのは、ずっと忙しくしてきた人は家族との関係に失敗していることが多いということ。家族像が多様化しているなかで、夫婦が幸せかどうかは、誰と結ばれるかより、最初の数年に、徹底してコミュニケーションして家族像をすりあわせるかどうか。そう思って、「結婚したんで辞めます」と。だけど、男が言うと簡単にすまされない。「なんでだ」と。「なんでだって言われたって、やめたいんです。みなさんみたいな夫婦になりたくないからです」と。そこまでは言いませんでしたが(笑)。結婚後は、2人で3カ月休みをとって、バックパック旅行をしました。うちは、けんかも徹夜で議論します。一番悪いのは、「おまえと話してももう無駄だ」と言うこと。どっかであきらめちゃうと、関係性ってつくれない。これは、家族に限らないと思うんですけど。
――女性の生き方も多様になっていて、選択肢がひとつしかない時代のほうが楽だったかもしれない。ディスカッションが必要なのは、多様性のなかからひとつを選びとるという課程を踏まなきゃならないということなんでしょうか。
高橋「ダイバーシティー」と言いますが、日本はあまりに特殊です。有給休暇の消化率は低く、女性の管理職率も低い。男性はPTAに出てこない。あまりにも、分業です。欧米やアジアではあり得ない。ワーキングマザーインタビュー調査をしたことがありますが、働きながら子育てをするということで、失うこともあるが、得られることもある。
日本でいけないのは、「専念するのがいいことだ」という考え方だと思います。仕事に専念するとか、家事に専念するとか。でも、専念というのは偏る。人間はひとつのことしかやらないと、他の能力が封印されちゃうから。だから、私たちの大学のキャリアラボでは、「ワークライフバランス」じゃなく、「ワークライフインテグレーション」と言っています。バランスというと、きれいに分けられるように思う。3:7なのか逆なのかと。そうではなくて、重なっている。その重なりをいかに有効にしていくかが重要なんです。
(この記事は社会(ジョブラボ)から引用させて頂きました)
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